STEPPSの各セッション
STEP1:病気と気づく
Session1
最初のステップはBPDというラベルについての誤解を、障害を定義する思考パターン・感情・行動への気づきへと置き換えることである。クライアントはしばしば,自分には致命的な欠陥があり、苦しむのは仕方がないのだという信念に取り組むことから始める。うまく付き合うための具体的なスキルを学ぶことができるという考え方を受け入れることで、変化のための能力を高める土台となる。
STEPPSでは,BPDに変わってより受け入れやすい感情強度障害(Emotional intensity disorder)という用語を用いている。ネガティブで歪んだ思考によって強化された自暴自棄なは病気の症状であり、つらい病気から楽になるためにそのような症状によって動かされているのだと学ぶ。
Session2
感情のコントロールに困難を抱える人によく見られるフィルター(個々人が持つ世界の見方のパターン)について紹介し,どのフィルターが当てはまるか話し合う。また,フィルターには役に立つものとそうでないものがあることを説明し,どちらのフィルターにどのくらい当てはまるかを検討する。
STEP2:感情とうまく付き合うためのスキルトレーニング
Session3 距離をとる
激しい感情体験に巻き込まれそうなときに,ひとまずその感情体験から距離をとることの重要性を説明し,その上で,どのようにして距離をとるのかについて話し合う。
Session 4, 5 言葉にする
激しい感情体験を言葉にすることの重要性を説明し,その上で,どのようにして感情体験(感情,考え,身体感覚など)を言葉にするのかについて話し合う。
Session 6,7,8 異議を唱える
Session2で紹介したフィルターや,そのフィルターから生まれる考えに対して,異議を唱えることの重要性を説明し,その上で,どのようにして異議を唱えるかについて話し合う。
Session 9,10 気晴らしをする
感情の強さを下げるための行動や,役に立たなかったり有害であったりする行動をせずに,感情的に大変な出来事を乗り切るための行動(これらを気晴らし行動という)の重要性を説明し,そういった気晴らしにはどのようなものがあり,どうすればそれらの行動を起こせるのかについて話し合う。
Session 11,12 問題に対処する
ここまでのレッスンでは,おもに感情体験に飲み込まれないためのスキルを学ぶが,このレッスンでは,どのようにして問題に向き合って対処していくかということについて説明し,実際にどのように問題に対処すれば良いか一緒に話し合う。
STEP3:行動とうまく付き合うためのスキルトレーニング
Session 13 行動のマネジメント
普段のライフスタイルが感情体験に与える影響や,バランスの取れた健全なライフスタイルの重要性を説明し,これ以降のレッスンで扱う内容について導入を行う。そして,現在の参加者のライフスタイルがどうなっているのかについて話し合う。
Session 14 目標設定
生活の中で具体的な目標を設定する重要性とその方法について説明し,参加者ごとの目標とその実現の仕方について話し合う。
Session 15 食事と睡眠
食事と睡眠がライフサイクルや感情体験に与える影響やその重要性について説明し,参加者の食事や睡眠の週間について話し合う。
Session 16 運動,余暇活動,身体的健康
運動や余暇活動,身体的健康がライフサイクルや感情体験に与える影響やその重要性について説明し,参加者の食事や睡眠の習慣について話し合う。
Session 17 自己破壊的行動の回避
自己破壊的行動(たとえば,自殺企図,自傷行為,むちゃ食い,物質乱用など)やその与える影響について説明し,参加者が陥ってしまう自己破壊的行動やそのパターン,それに対する対策について話し合う。
Session 18,19 対人行動
感情のコントロールが困難な人が陥りやすい対人関係上の問題について説明し,その上で,どのような関係が健全な対人関係といえるのか,または対人関係の中でこれまでのスキルをどのようにして用いるのかについて話し合う。
Session 20 締めくくり
グループでこれまでに学んだことを振り返り,グループ終了後について話し合う。そして,これまでのグループワークに対して修了証明書を授与する。